天使の足跡
「教科書とかある? 見てみたい」


何も言わずに、オオタは数学の教科書を差し出した。
それを開いて見て、ギョッとする。

メモ書きやマーカーで整理されている。


内容は変わらないのだろうが、南高というだけで難しそうに見えた。

その上、僕は大の数学嫌いだ。


教科書を返そうとした時、裏表紙の名前に目がとまった。



“2年C組 太田癒威”



「オオタユイって、こう書くんだね」


画数多い……。
なんだか、名前だけでも頭が良さそうに見える。







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