天使の足跡
考えてすぐに僕は、ケースの中から楽譜を取り出した。
それらが太田の手に渡り、ページがめくられていく。
どれも歌詞と曲調、題名が記されているのに、その中のたった一つは違った。
「これは?」
太田がまじまじと譜面を見つめる。
僕は説明に困った。
ギターを弾くにあたって最初に作った曲なのに、3年経った今でも完成していない。
「……初めて作った曲。駄作だよ。だから歌詞書くのに迷ってるんだ」
そう言っている僕の頭の中では、透明なピアノの音色と、静かなギターの音色が流れている。
決して感動的な曲とは言えない。
本当に駄作だ。
初めて作った曲というだけあって盛り上がりや奥深さに欠けていると、自分でも難癖をつけるくらい。
太田はその譜面に目を通す。
読んでいる最中、太田の顔が明るくなっていくのを僕は見た。
楽譜が読めるのかもしれない。
「太田ってさ、ギター弾けるの?」
「少しだけなら」
言いながら楽譜の終わりまで目を通し、僕に返して言う。
「この歌、聴いてみたい」
「聞くだけ時間の無駄だと思うよ?」
「だったら尚更」
「またそれー?」
「とにかく。できたら教えて、約束」
「うん、約束」
それらが太田の手に渡り、ページがめくられていく。
どれも歌詞と曲調、題名が記されているのに、その中のたった一つは違った。
「これは?」
太田がまじまじと譜面を見つめる。
僕は説明に困った。
ギターを弾くにあたって最初に作った曲なのに、3年経った今でも完成していない。
「……初めて作った曲。駄作だよ。だから歌詞書くのに迷ってるんだ」
そう言っている僕の頭の中では、透明なピアノの音色と、静かなギターの音色が流れている。
決して感動的な曲とは言えない。
本当に駄作だ。
初めて作った曲というだけあって盛り上がりや奥深さに欠けていると、自分でも難癖をつけるくらい。
太田はその譜面に目を通す。
読んでいる最中、太田の顔が明るくなっていくのを僕は見た。
楽譜が読めるのかもしれない。
「太田ってさ、ギター弾けるの?」
「少しだけなら」
言いながら楽譜の終わりまで目を通し、僕に返して言う。
「この歌、聴いてみたい」
「聞くだけ時間の無駄だと思うよ?」
「だったら尚更」
「またそれー?」
「とにかく。できたら教えて、約束」
「うん、約束」