天使の足跡
机に肘を突き、考える人の如く拳を口にあてがい、数回瞬きをした後、僕の手からするりとペンを奪い取った。
太田の右手がノートの上をササッと走る。
「これはね……」
何の迷いもなく式も計算も、きちんと整理された状態で書かれていく。
それも学校で習うより解りやすいものだから、素直に感激してしまった。
「──槍沢くん、聞いてる?」
「あ、うん」
「うそだ。全然聞いてなかったくせに」
「だってあんまり簡単に解けるもんだから、そっちに感心しちゃって……」
「ここまで書いたんだから、あとは自分で考えてね?」
「えー!」
こんな具合で、僕の退屈な時間は余すところなく勉強に使うことができた。
それもひとえに彼のおかげ。
「今日の料理当番代わるから、頑張って!」
太田はガッツポーズを見せてキッチンへ立つ。
それを見て僕は、つくづく何でもできる奴だなあと思うのだった。
話は変わるけど、太田は僕より家事や作法に長けていて、何をするにも上品な感じがした。
正直な話、太田の作る料理はかなり美味い。カフェでも開けるんじゃないかというくらい、コジャレた料理を出してくるのだ。
その上要領がよくて、勉強も出来て……おそらく、スポーツだって人並み以上にできるのだろうと思う。
僕はなんだか劣っているようで、時々悔しいとさえ思ったくらいだ。
“困った時に手を貸して、
手を貸されて、
僕たちは今までも
そうやってきた。
友達って、大事だ。
僕は、今でも
そう実感している”
太田の右手がノートの上をササッと走る。
「これはね……」
何の迷いもなく式も計算も、きちんと整理された状態で書かれていく。
それも学校で習うより解りやすいものだから、素直に感激してしまった。
「──槍沢くん、聞いてる?」
「あ、うん」
「うそだ。全然聞いてなかったくせに」
「だってあんまり簡単に解けるもんだから、そっちに感心しちゃって……」
「ここまで書いたんだから、あとは自分で考えてね?」
「えー!」
こんな具合で、僕の退屈な時間は余すところなく勉強に使うことができた。
それもひとえに彼のおかげ。
「今日の料理当番代わるから、頑張って!」
太田はガッツポーズを見せてキッチンへ立つ。
それを見て僕は、つくづく何でもできる奴だなあと思うのだった。
話は変わるけど、太田は僕より家事や作法に長けていて、何をするにも上品な感じがした。
正直な話、太田の作る料理はかなり美味い。カフェでも開けるんじゃないかというくらい、コジャレた料理を出してくるのだ。
その上要領がよくて、勉強も出来て……おそらく、スポーツだって人並み以上にできるのだろうと思う。
僕はなんだか劣っているようで、時々悔しいとさえ思ったくらいだ。
“困った時に手を貸して、
手を貸されて、
僕たちは今までも
そうやってきた。
友達って、大事だ。
僕は、今でも
そう実感している”