天使の足跡
「ちょっ、ちょっと待てよ、いつの話?」
「夜中」
「そんなあ! 僕だって……!!」
僕はムッとした。
もともとの被害者は僕の方なのにと、言い返したくなる。
まあ、今のところ一番悪いのは僕なんだけど……。
「……怒ると余計に暑くなるから、もうよそう。殴り合って解決する問題じゃないだろ。それより準備が先!」
僕はブラインドを上げた。
時計は7時を指している。
慌てて顔を洗い、寝ぐせを何とか直しながら制服を掴んだ。
「槍沢くん、遅刻するよ」
「分かってる!」
素早く制服に袖を通して、先に部屋を出て行った太田の後を追いかけた。
僕らの学校生活が、再び動き始めた。
ただ、心配なのは。
僕はあれから、補習に出ていない。
田中は次に、何を言い出すだろうか……。