天使の足跡
3
体育館の外はすでに暗闇だった。
ナンバーをつけたチームと、つけていないチームが、コートの中を駆け抜ける。
その中に癒威もいた。
残り時間、30秒。
ボールが次々に練習着チームの手に渡っていく。
スリーのラインに沿うように、ナンバーチームを囲っていた。
ゾーンディフェンスの形を取っているナンバーチームは隙を作らない。
スリーのラインに立った癒威のもとに、ボールが回ってくる。
癒威はゴールに向かって構えた。
シュート率の高い癒威を潰そうと、三谷のデイフェンスが立ちはだかる。
その瞬間を待って、ドリブルで素早く隙間に切り込んでいく。
ゴール目前でセンターの体当たりを食らって態勢を崩すが、見事にボールはネットを潜り抜けた。
ビーッという、試合終了の合図と同時に、味方チームの歓喜の声が彼に降り注ぐ。
「ナイスショーット、太田!!」
仲間とハイタッチを交わしていく。
背後からやってきた三谷が、癒威の肩を抱えて並んだ。
面白くなさそうに唇を突き出している。
「あー、負けた負けた〜!! 悔しいけど、今度もスタメン譲ってやるよ」
「いらないよ。『やめる』って言ったでしょ」