狂愛ラバーズ
このまま家に帰すのもなんだし、抱き上げたままタクシーを拾い俺の家に向かう。





他人から見えないように、スーツのジャケットを下半身に巻いた。




「着替えは置いておくから、シャワー浴びておいで。」





家に着いてすぐに脱衣場に向かい、かれんちゃんを降ろしてドアを閉めた。





ずっと抱いてたのにも関わらず、腕の痛みなんかなかった。





身長も低かったし、線も細く痩せすぎなんじゃないかと心配になった。





安堵のため息を漏らしソファーに座ったところで重大な事に気付いた。





僕は男独り暮らしで女性用下着もなければ生理用品もない。





いまさら聞きに行くのも遅すぎるし、買いに行くといってもどういう物を買えばいいのかわからない。





「新名さん……。」





項垂れてるところで蚊の鳴くような声が聞こえ、ハッと顔を上げるとリビングの入口から顔を覗かせてるかれんちゃんがいた。





「かれんちゃん、ごめんね。その、下着とか……今気付いたんだ。」





慌てて近寄りその姿を見れば僕の服は大きくTシャツなのにワンピースのようだった。




< 27 / 115 >

この作品をシェア

pagetop