狂愛ラバーズ
「今日の晩ごはんは何が食べたい?」


「嫌いな物はないからなんでもいいんですけど……海斗さんが作るんですか?」


「疲れてない?家でゆっくりしようと思ったんだけど、どこかに食べ行く?」


「海斗さん、あの………。」


「ん?」





言い難くそうに、顔を見たり俯いたり…そんなに目を潤ませないでくれ。





「どうしたの?気になる事があったらなんでも言っていいんだよ?」


「じゃあ……あの…………。」


「ん?」





そう言って首を傾ければ、それはそれは恥ずかしそうな顔をした。




「たっ、たこ焼き…食べたいです。」


「たこ焼き?」


「ダメですか?」


「ダメじゃないけど…。」





晩ごはんがたこ焼きで本当にいいんだろうか……フレンチでも中華でもイタリアンでもいいのに、もしかして遠慮してるんだろうか。




「たこ焼き…海斗さんは食べた事ある?」





そりゃあ食べた事は勿論ある。





飲み屋街には何軒もお店があって、お持ち帰りしたり店で食べたりするけど……もしかして―――――…。





「私、食べた事なくて……どうしても食べてみたいんです。」




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