狂愛ラバーズ
緊張してるのか、少し震えた声が聞こえてくる。





「僕は大丈夫だけど、無理しなくていいよ?」


「だっ大丈夫です。この前は緊張しすぎて怖くなってしまって……本当にごめんなさい。」





裏返り、だんだん小さくなる声に口元が緩んでしまう。





「じゃあ、一度会おうか。いつがいいかな?」


「ら、来週の土曜日はどうですか?」


「うん、大丈夫だよ。」





土・日曜日は仕事が休みだし、予定も入ってない。





来週の土曜日、11時に駅前の時計台で会う事になった。





連絡がきたのは意外だったが一度会おうって言われたのはもっと意外だった。





お見合い当日、ぶつかっただけで顔を見る事が出来なかった。





来週の土曜日、顔も知らないのに会えるのかと思ったけどなんとなく大丈夫な気がした。





冷めて疲れきった心が温かくなった気がした。





口元が緩んでるのがその証拠かもしれない。





電話を切った後はどんな子なんだろうと少し気になってしまった。




スケジュール帳にちゃんと予定を書いておけばよかった。




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