つよくなりたい

彼から、目が離せなかった。

彼の好きなとこがいくつも浮かんだ。

どっちかというと可愛い感じの顔。でも、真面目に考えてるときは急にキリっとして、凄くかっこよくなる。

いつもそのギャップにドキドキしてた。

あたしより10センチだけ高い背丈。

見上げる度に男の子だなぁ、って思った。

それから、バスケ部の強い腕。

あぁ、この腕で抱きしめてもらえたらどれくらい幸せだろうって、何度も思った。

そして、彼の笑顔。

笑ってもらえたらなにより嬉しかった。長谷川だけだ、笑顔を見るだけであんなに幸せになれる相手なんて。

それほど、好きな人なんて。

彼はまだ、不思議そうな顔をしている。

この流れだったら、普通気づくのに…。やっぱり、鈍感だ。まったく、それであたしがどんなに泣いたか。

でも、好きだから。

だから、ちゃんと言うよ。

「長谷川っ!

…大好きです!!!」

…やばい。

……顔、すごく熱い…。

どんな答えが返ってくるかとか、どんな答えが欲しいとか。

そんなこと、全然考えられなかった。

ただ、こんなにも伝わって欲しい。

いつかわすれてもいいよ。

だから、
今この瞬間だけでも、あたしの気持ちを受け止めて欲しい。

それだけでいいから…

全部、報われるから。
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