つよくなりたい
「もぅ…付き合い長いからわかるよ、なんかあったんだろ?」

「そこまでわかっていてなぜ理解できない!?」

「ええっ……普通…じゃない?」

普通の男の子はもうちょっと自意識過剰だとおもうよ★

「なるほど…そうやって女の子たくさん泣かしてきたわけね…?」

「…はっ、はぁ?」

「見破ったぜ!!」

「なにを!?」

「ふんっ!長谷川が天然タラシって言われてる理由だっ」

「ちゃうゎ!あ!うつった!」

「違うくないだろ!!」

「なっ…もう、しゃべり方が女の子じゃなくなってるし」

「………!」

「駄目だぞ~?そんなんじゃ」

「…あら失礼。わたくしとしたことが、おほほほ」

「ぎゃっ!?(ぞくっ)」

「ついつい取り乱してしまいましたわ…ごめんなさいね」

「誰だよおまえ!」

「まー坊だよ!」

「だよな!?あ~びびった…」

そう呟いている長谷川を見て、あたしは気付いてしまった。

こんな馬鹿らしい口ゲンカをしている時がやっぱり一番楽しい…。

たぶん、長谷川もそれは一緒だという気がした。

そうしたらなんか急に力が抜けて、頭に上ってた血が正常に戻ったみたいに、すごく頭の中がクリアになった。

「…長谷川。好きだよあたし、長谷川のこと」

「なんだよ、急にあらたまって」

「…うん、そうだよね。ごめん」

「いや謝らなくてもいいからさ」

「ありがと。」あたしは昨日の夜、必死で書いた手紙を渡した。

好きだなんて一言も書いてない手紙。

ちゃんと口で伝えたかったから、伝わるって思ってたから。

「これ。…ちゃんと一人で読んでね」

「あ、ああ…」

「今まで、いろいろ楽しかったから。ありがと…。」

「うん」

「じゃあ、また機会あったら会いたいな」

「うん俺も!!じゃ、またな!」

あたしは控えめに手を振り、去っていく背中をちゃんと見送ってから、ハラハラしながら待ってる友達のところに向かった。
< 5 / 7 >

この作品をシェア

pagetop