紙吹雪
「…見つけにくいな…」
そこで歳三は漸く何故物取りが新月の日に人を手にかけるのか理解した。
…これが新月の日の理由かよ…!
"月明かりの無い日に出来るものなのか"ではなく"月明かりが無い日だから出来る"のだ。
もともと明かりの少ないこの場所は、とにかく視界が悪い。
月明かりの無い夜は、普段より格段にものが見えにくくて。
ほんの少し死角に入ってしまえば、きっと誰も気付くことは出来ないだろう。
「…つーか逆に、こんな夜に忍び込めるってどんな奴なんだ………ん?」
ある意味尊敬にあたる、と歳三が頷きかけたとき、一瞬立ち並ぶ平屋の屋根の上で何かが光るのが見えた。
強い光ではなかったが、あるはずのないものが確実に其処にあるとでも言いたげな光。