紙吹雪
見えるか見えないかのギリギリの距離にあるその姿。
しかし天性の才能なのか歳三の獲物を狩る本能は凄まじく、他の人よりもすぐれた感覚を持っていた。
一度見つけた標的は絶対に逃さない。
視覚というよりは己の感で物取りの位置を確かに認識している。
そして歳三は逃げていく物取りの姿に自分が抱いていた謎の答えの欠片を見た。
「…っ黒装束……忍か…!?」
実際に忍を見たことはないが、あの超人離れした運動能力もそれなら納得がいく。
奉行所が捕まえないということは、お上がその行為を許しているということ。
となれば藩、もしくは幕府関係の隠密なのか。