紙吹雪




どちらにしても、何故この辺りに隠密が出るのかはわからない。



わかるのは歳三が辿り着いた二つの仮説がどちらも正しかったということだけ。



ただ、今この瞬間その後ろ姿を追っている歳三は何とも言えない違和感を感じていた。


それは相手が忍だからとかそういうことに対する感情ではなく、もっと身近なもの。




まるでその後ろ姿を何処かで見たことがあるような、そんな気分。




物取りを…しかも人斬りをした者を追い掛けているというにもかかわらず、少しも怖いという感覚がないない。


それどころか、まだまだその後ろを追い掛けたいという気持ちのほうが遥かに大きかった。




歳三は、この感情を知っている。




つい最近、同じようなものを感じたのだから。





「…あれ…は…」





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