紙吹雪
「歳っ!」
どれくらいその場に立っていたのか。
歳三を現実に引き戻したのは、遠くから聞こえた親友の声。
歳三はハッとして声のした方へ振り向く。
「勝っつぁん…」
振り向けば遠目に見える勝太の姿。
急いで走ってきたのであろう勝太は、肩で息をしながら歳三に近づいてきた。
「歳!そこの家の男が物取りに襲われたんだって!?犯人見たか!?」
恐らく悲鳴を聞き付けこちらに向かってきたのだろう。
その途中でさっきの家を目撃したようだ。
歳三の肩を掴み興奮気味に喋る勝ったに対し、歳三は思うように言葉を紡げない。
犯人…間違いなく、かおだ。
でもそれ言ったらどうなる?
かおを探してお偉いさんに引き渡せってことになんのか?
……したら俺は二度とかおに会えないかもしれない…?
………それは無理、だめだ。堪えらんねぇ。