紙吹雪




「………ただ、よ…」


「ただ?」


「……なんつーか、物取りって感じじゃなか、った」




勝太を欺くのは間違ってる。

せめて嘘をつくのは馨のことだけにしよう、と歳三は意を決して今見た出来事を話し始めた。




「黒装束でさ、忍…みたいな感じ」


「忍…?」




頭の中を整理しながら、いらぬ言葉を使わぬよう気を付けて話していく歳三。


勝太が驚き繰り返した言葉に歳三は小さく頷く。




「何でこんなとこに忍びなんだ…?」


「わかんねぇ…けど、遠目で見た感じでも身体能力とか、はんぱじゃねぇみたいだったし…」




多分間違いねぇよ、と歳三は右手でガシガシと頭を掻いた。





言えるのはここまでだ。

これ以上は…俺がボロ出す、かもしんねぇ…





出来る範囲のことだけ口にすると歳三はぐっと唇を噛み締め黙り込む。




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