紙吹雪
歳三の苦しげな表情を察してか、勝太もそれ以上のことを追求してくることはなかった。
とにかくいったん家に引き返そう、という勝太の一言で二人は踵を返し周平の待つ家へと足を進めていく。
家に着くまでの道程、二人の間に会話はない。
歳三は勝太がちらちらと自分を気にして見ていることに気付いていたが、この時ばかりは口を開くことが出来なかった。
ただただ整理しきれていない頭を必死に回し、馨のことを考える。
何がどうなってんだか、よくわかんねぇよ…
沈黙のまま漸く二人が辿り着いた近藤宅の前には、そわそわと落ち着かない様子で行ったり来たりしている惣次郎の姿があった。
二人の存在に気付くや、惣次郎は物凄い勢いで二人に向かって走りだす。