紙吹雪
勝太が出ていき、周平と歳三の二人きりになった部屋。
歳三は居心地悪そうに目線を下げている。
そんな歳三に周平は静かに話しだした。
「…いやな、元々変な話だとは思ってたんだ」
周平の声に歳三が下げていた目線を上げれば、そこには真剣な面持ちをした周平がいて。
ゴクリと息をのむ歳三。
「真っ暗ん中とはいえ、ああ何度も役人の目を盗むなんて、そう出来ねぇはずだ」
お前もそう思うだろ?という周平に歳三は素直に首を縦に振った。
それは歳三が不思議に思っていたことと全く同じで、馨のことを抜きにしても不審に思っていた点。
まさかここに同じ考えの人がいたとは。
先を求めるようにすぐ頷いた歳三を見て、周平は更に話を進める。