紙吹雪




「それによ…気付いたか?惣次郎のこと」




その言葉に歳三の眉が動いた。




もしかして…それは俺が引っ掛かったところか…?





「惣の…態度のことですか…?」





真意を確認するため問い掛けた歳三に周平は小さく頷く。




「惣次郎の奴…何か変でな。やたらと物取りの話に敏感なんだよ」

「敏、感…?」




首を傾げる歳三に周平はもう一度浅く頷くと、僅かに眉間に力を入れた。




「あぁ。最初は自分が疑われてるせいで気になってんのかと思ってたんだがどうも違うみてぇなんだ。今日もお前らが出ていった後、部屋に籠もったかと思えば落ち着かねぇ様子で家ん中歩き回っててよ」




歳三は周平の話を聞きながら先程の惣次郎の姿を思い出す。


あの時も惣次郎は物取りを捕まえ損ねたと聞いて何故か安心したように笑っていた。




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