紙吹雪
客間に入り襖を閉めるとそのまま畳へと倒れこんだ歳三。
「…はぁぁぁ──…」
畳に体を預けたまま深い溜息を吐く。
いろんな事がありすぎて頭爆発しそうだ。
ごろんと寝返りをうち、灯りが落ちて真っ暗な天井を見上げる。
本当は嘘を吐くべきじゃなかったのかもしれない。
そうすりゃあ、惣の疑いも晴らせたはずだ。
そう思うものの、それが出来なかったのは、自分が思っていた以上に歳三の馨に対する愛情が強く大きかったから。
そして歳三は馨から言われたある言葉を思い出した。
"…名前知ったら…後悔するかもしれませんよ?"
初めて名前を聞いたときに言われた言葉。
「……これだったのか…」
今になって歳三は漸くその意味を理解した。