紙吹雪
爽やかな空気に歳三の呟きがぽつりと響く。
歳三が此処に腰を下ろしてからどれくらいの時間が経ったのだろうか。
まだ、空に輝いていたはずの太陽は沈み始め、辺りはだんだんと鮮やかな色を失いかけてきている。
会いてぇんだけど…な…
馨を待つ間、歳三はひたすら自分の中にある不安と戦っていた。
歳三の中にいる馨は、どうやっても自分には笑いかけてくれなくて。浮かんでくるのは、何故か見たことなどないはずの泣き顔ばかり。
それが無性に悔しくて、哀しい。
……何で、泣いてんだよ…
何かに耐えるよう、ひたすら涙を流している馨の姿に歳三はぎゅっと拳を握り締める。
そのたび、何も知らない自分の腑甲斐なさに心臓を貫かれるような気分に陥った。