紙吹雪




そして、まるでそんな自身の心と連動しているかのように暗く、悪くなっていく視界。


粘りに粘った歳三も、流石に来ないかと諦め、帰ろうと足に力を入れた時




カサッ




歳三の後ろから人の足で石を踏んだような音が聞こえてきた。


直感で犬や猫などの動物のものとは違うと判断したその音に即座に後ろを振り返る歳三。


薄暗い景色のなか、確かに見えたのは今か今かと心待ちにしていた待ち人の姿。




「かおっ!!!!」




漸く見つけたその姿に、歳三は勢い良く立ち上がり馨の名を叫ぶ。


そんな歳三の呼び声に馨はびくりと体を震わせると、その場で歩みを止めた。

顔は驚きの表情のまま強ばり固まっている。




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