紙吹雪
「と、し…さ…っ!…な、んで…」
微かに震えている馨の声。
戸惑いを隠せないままに絞りだしたような言葉が歳三の耳に届く。
それは間違いなく、ずっと聞きたかった声で紡がれた。
やっと、会えた。
数日ぶりに聞くことが出来た馨の声に安心するも、同時に沸き上がった怒りにも似た感情が歳三の心の中を廻る。
この感情はお門違いなのかもしれない。
頭ではそう思うものの、頭と心は同じ考えを持ってはくれなくて。
言い表わすことの出来ないどす黒い気持ちだけが、ただただ身体中を渦巻いた。
「…話が、したかった。だから此処で待ってたんだ」
此処なら会えると思って…と歳三はゆっくり馨のもとへ足を進める。