紙吹雪
すると、歳三の歩みと揃えるように馨が一歩一歩後ろに下がっていった。
小さな歩幅ではあるが、確実に歳三と距離をとろうとしている馨。
一歩進むたびに一歩後退りを繰り返していく二人。
歳三にとってそれは、とてつもなく頭にくる行為だった。
「……で……よ……っ」
歩幅が違うはずなのに何故か近づくことの出来ない距離。
それがあまりにもどかしくて。
「…っ何で、何で俺から離れようとすんだよ!!!!」
近づきたいのに近づけない。
まるで心のようなこの距離に耐えきれず、歳三は馨に向かって怒鳴るように叫んだ。
思わぬ歳三の怒声に馨の肩が大きく揺れ、ようやっと足音が止まる。
歳三はそんな馨の姿を射ぬくように見つめた。