紙吹雪
「と、しさん…こそ…な、で…近づく、の!?」
そんな歳三の視線から逃げるように馨は顔を逸らし声を張り上げる。
合わない視線と馨からの拒絶ともとれる反論。それが更に歳三のカンに触って。
自分でもわかるほどふつふつと沸き上がる苛立ちに、ますます強まる歳三の口調。
「お前は馬鹿なのか!?話したいことがあるからに決まってんだろ!?」
「わっ私には…!話すことなんて何も無いですもん!!」
感情のままに喚く歳三に対し、馨もまたぎゅっと目を固く瞑りながら声を大にして叫ぶ。
そんな馨を歳三はキッと睨み付けた。
今までにないくらいの声で言い合っているせいか、それとも苛々しているせいなのか。
まるで長距離を全力疾走した時の如く肩で息をする二人。