紙吹雪
「…………いい加減にこっち向きやがれ…!!」
どすの聞いた声で歳三が凄むも、馨は嫌だというようにプイッとそっぽを向きジリジリと後ろに下がる。
…こんの野郎…いい加減にしろよ…
もともと気は長いほうである(と本人は思っている)歳三だが、馨のこととなるとそうもいかない。
…何日も待ったのにこの仕打ちはねぇだろ…!!
いや、まぁ確かに待ってたのは俺の勝手だけどよ。
自分の勝手だとはわかっているものの、どうしても理不尽さを感じてしまっている歳三の堪忍袋はもはや限界に近い。
「……こっち向け」
「…………嫌、です」
そう言って口をへの字に曲げた馨は、ついにくるっと歳三に背を向け今来た道へ勢い良く走りだした。