紙吹雪




その行動に、限界間近だった歳三の怒りは一気に急上昇。


ぷつん…と堪忍袋の緒が切れる音が歳三のなかに響く。




「……待ちやがれ!!」




そこからの歳三は早かった。


強く地面を蹴りあげ右足で踏み切ると、風すら障害にならぬ程の勢いで馨に向かって一直線に走りだす。

その信じがたい光景に馨も慌てて速度を上げるが、それを上回る早さで間合いをつめた歳三はそのままの勢いで馨の腕を強く掴んだ。



「…いっ…」




あまりの強さに思わず顔を歪める馨。


強引に繋ぎとめられた馨の腕は、じんわりと赤く色を変えていた。




< 133 / 320 >

この作品をシェア

pagetop