紙吹雪




「それは…俺はかおにとって、価値なんてねぇ男だっつーこと、か…?」




きっとこれは、闇夜で会ってしまったあの日から歳三が一番聞きたかった質問。





あの夜、俺はまったく知らないかおに出会った。


それで気付いたんだ。


俺はお前のこと、何も知らないんだって。





馨は決して自らのことを歳三に語ろうとはしなかった。

歳三は自身のことや家のこと、親友のことなどを話していたし、自分の気持ちは態度で示してきたつもりである。


しかし、いくら記憶を遡っても、馨が己のことを話していた記憶に出会えない。




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