紙吹雪
…ポタ…
遠くなる馨の後ろ姿に、歳三の瞳からは一筋の雫が零れ落ちた。
つーと頬を伝っていくそれは久しく流していなかった悲しみの形。
重力のままに地面へと吸い込まれていく雫は、歳三の足元に幾つもの染みをつくっていく。
男児たるもの簡単に泣くものではないと僅かに残る理性が強く己を叱咤するものの、歳三の心は言うことなど聞いてはくれなくて。
ただただ、溢れるばかりのそれを歯をぎゅっと食い縛り必死に手の甲で拭うことしか出来ない。