紙吹雪
《枯れない涙》
その夜、どうやって家に帰ってきたのかは覚えていない。
気付いたときには歳三は一人、家の奥の縁側に座り込んでいた。
その姿はまるで魂を抜かれた屍のようで。
あまりに見るも無残なその後ろ姿は、あの喜六ですら激を飛ばすことを躊躇うほどだった。
「……………」
視線はゆらゆらと漂い宙を舞うと、ぴたりと空に浮かんだ月を捕らえる。
まだまだ僅かにしか光を放っていないそれをぼーっと見上げる歳三。
そして何かを耐えるように、ぎゅっと着物の胸元を掴んだ。