紙吹雪
「俺は土方歳三。十七になったばっかだ」
適当に呼んでくれと言った歳三に、少女は一瞬ためらいを見せたが、すっと目を細め
「馨です。立花馨。御年十歳になります」
笑った。
ふわりと花が咲いたように笑う馨。
初めて見た馨の笑顔に再び熱くなる頬とぼーっとする頭。
「えっと…歳、さん…?」
「うぁっ!?へ、ははい!?なっな何だ、かお」
馨の声にはっと現実に戻った歳三は奇妙な声を上げて返事をする。
どうやらお互いの呼び方は"歳さん"と"かお"に決まったらしい。
「顔…真っ赤だけど大丈夫?」
馨の言葉に慌てて口元を手でおおう歳三。
熱い。確かに熱い。
「だっだ、大丈夫!何の問題もねぇ、平気!」
煙が出そうな頭をブンブンと横に振り、吃りながら返事をする。
どうにか冷静を装いたかった歳三だったが、どうやら無理のようだ。