紙吹雪




歳三は目を閉じて数日間の出来事を思い出すように言葉を紡いでいく。




「…ただ…会い、たくて。でも会う方法とか俺全然わかんなくて…だから、ずっと待ってた」




今日こそは、今日こそは…と一体何日あの場所で馨を待ったのか。

歳三にとってそれは気が遠くなるほど長く感じた時間だった。


それでも、自分が来なくなってから馨が来たらと思うと歳三は行くことをやめることも出来ずにいたのである。



そんななか、今日漸く出会えたはずだったのに。




「今日、やっと会えて…やっと会えたと思ったのに……っ」




それ以上は言葉が続かなかった。

思い出すだけで、このまま心臓が動くのをやめてしまうのではないかと心配になるくらい胸が痛い。



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