紙吹雪
《秘めた決意》
為二郎の言葉に歳三は大きく目を見開く。
まったく予想外の台詞。
歳三にはその言葉の真意を理解出来ない。
驚きのまま穴があきそうな勢いで己を凝視している歳三に為二郎は苦笑いを浮かべると、独特のゆったりとした口調で語りはじめた。
「その子はわざとお前に嫌われるようなこと言ったんじゃないのか?」
「…わざ…と?」
歳三はわからないと言いたげな困惑した表情で不思議そうに為二郎を見上げる。
その顔は普段見せる変に大人びた歳三のものとは違い、年相応の少年らしい表情をしていて。
やはり、まだまだ子どもなのだと感じる為二郎。
そして、今が一歩大人に近づく瞬間なのだとも。