紙吹雪




もし、為二郎の言葉が真実なのだとすれば、歳三にとってそれほど嬉しいことはない。


それは馨に突き付けられた言葉が全て嘘だったということに、あの言葉たちが本心ではなかったということになるのだから。




「あぁ…歳の為だろうな」




揺れ動く歳三の心境を察したのか、為二郎は再び少し乱暴な手つきで歳三の頭を撫でた。


まるで"当然だ"とでも言うかのような暖かい手のひら。

乱された髪に歳三は小さく肩を竦め為二郎を見上げる。




「馬鹿野郎。歳は兄さんの言うことが信じられねぇのか?」




からかうように口を意地悪く歪めて笑う為二郎に慌てて首を横に振る歳三。




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