紙吹雪
そんな歳三に為二郎は静かに頷いて表情を緩めた。
その笑みに漸く安堵感を覚えた歳三の心には、先程の為二郎の言葉が自然とすっと収まって。
兄の存在とはなんて偉大なのかと改めて思う。
しかし、それと同時にツキンと鈍く痛み始めた胸の奥の奥。
その痛みに歳三は首を捻りながら体を起こした。
…あ、れ…?俺、なんか忘れて…
そう思った時、歳三の頭に浮かび上がったのは馨との最後の会話。
"お前、最低だな"
為二郎の言葉を受け入れたとともに思い出したそれは、間違いなく歳三が馨に向かった放った一言で。
馨に告げた信じられない言葉に、自らの台詞と知りながら歳三は驚愕した。