紙吹雪
俺 は 何 を 言 っ た ?
途端にさっと血の気を引いた歳三の顔。
ヒュッと喉を鳴らせて黙り込んだ歳三に為二郎は不思議そうな表情を浮かべ向き合う。
体を震わせ青ざめた顔をしながら歳三は恐々と口を開いた。
「た、為兄…どうしよ、俺…かおに…"最低"なんて酷いこと言っちまって…っ」
何も事情を知らなかったとはいえ、到底好きな女に向ける単語とは思えないそれ。
あん時、かおはどんな顔してた…?
必死に記憶を手繰り寄せるが、一向に馨の表情は浮かんでこない。
それもそうだろう。
あの時の歳三は自分のことに精一杯で、馨の表情を見ている余裕などなかった。