紙吹雪
もしあの時…俺が少しでも冷静さを取り戻すことが出来てたら。
もしかおの様子を見ることが出来てたら…
かおの表情をきちんと確認していたら
…そうしたら、何かが変わっていたんだろうか。
そんな今更どうしようもない考えが歳三の頭を過る。
全ては後の祭り。
口にした言葉を取り消すことは出来ないし、過ぎた時間も戻ってはこないというのに。
先程まで振られたなんだとうじうじ落ちるところまで落ちていたのが嘘のように、今度は困惑の末、顔面蒼白で狼狽えている歳三。
そんな歳三の動揺を肌で感じながら為二郎は軽く微笑むと、ゆったりとした動作で腰をあげた。