紙吹雪
馨に拒絶された自分に一体何が出来るというのか。
為二郎の言葉通りならば、馨が望んでいるのはこれ以上歳三がこの件に関わらないこと。
しかし、馨の言葉の裏に隠れた真意に近づいた(気がする)今、関わらないなど出来るわけがない。
…でも、だったら今俺に何が出来るってんだ…?
布団に顔を埋めながらゆっくり目を閉じて最後に見た馨の残像を探す。
その一部始終を覚えているわけではないが、視界の端に捕らえたはずの馨の姿を必死に見つけだそうとする歳三。
穏やかな川辺、青々とした草花、闇を手前に迎えた夕焼け、そして何度となく見つめた己の手のひら。