紙吹雪
この腕で不安も寂しさも全部まとめて抱き締められるように。
きっとこの体は生まれたときからそのためにあるんだ。
そんな恋する乙女のような思考が当たり前のように歳三の中に浮かんできて。
そんな自分に苦笑しながらも気分は悪くない。
寧ろ清々しいほどその心は晴れ渡っていた。
「…俺が…守ってやるから、な…」
笑みとともに零れた言葉は紛れもなく歳三の全身から出た心そのもの。
この結論が正しいのかどうかは誰にもわからない。
しかし、この想いはこの後何十年も歩んでいく道の中で変わることなく続いていく。
例えどんな嵐に見舞われても、どんな深い闇に落ちても。
そして、今この瞬間も────…
第四章〜偽心〜・完