紙吹雪
どうしたもんかと歳三が眉を顰めたとき、ふいに後ろから若い男の声が聞こえた。
「あれ?君もしかして…」
その言葉が自分に向けられたものだと気付いた歳三が声のした方へ振り返れば、立っていたのは二十代半ばくらいであろう青年。
その顔立ちはどこかで見たことがあるようで。
…誰、だっけ…?
確かに間違いなく見たことはある気がするのだが、いまいち思い出せない。
ぐるぐると思考を回しながら歳三が表情を険しくしていると、青年は苦笑しながら頭を下げる。
「私、ここの屋敷に奉公に来てるんです。先日旦那様が襲われたときに駆け付けてくださった方ですよね?」