紙吹雪
その言葉を聞いて、歳三は漸く声をかけてきた相手の正体を思い出した。
…ああ!あん時、一番初めに飛び出してきた奴か!
暗闇のなかだったためしっかりと顔を確認できたわけではなかったが、確かにあの時屋敷の門から飛びだしてきた男と背格好が似ている。
あの時の男が元気な姿でここにいるということは、ここの主人は恐らくその後も命永らえているということ(でないと暇を出されているはず)。
「あ、あの!ここの主人と話って出来たりするんですか!?」
そうと決まれば、この出会いを無駄にするなど出来るはずもなく、歳三は必死な面持ちで青年に詰め寄った。