紙吹雪
「俺んち、親父もおふくろもいなくてさ。一番上の兄貴は目見えないから、家は二番目の兄貴が継いでんだ。んで…俺はその手伝い、みたいな?」
そう言って苦笑する歳三。
そして、ふと馨を見て思い出した。
そういやこいつ、体中に痣とか…あったよな?
「馨、つかってみるか?」
「…へ?」
突然の申し入れに馨は驚いたように歳三を見る。
歳三はお構いなしに馨の小さな手を取ると、すっと着物をめくり
「あ、やっぱ痣あった。うちの薬、打ち身とかに効くぞ?」
と優しく問い掛ける。
すると、歳三の言葉に馨はビクッと肩を震わせ、切なそうに黙り込んだ。
…あれ。
やべっ俺なんかまずいこと聞いた!?
か、かお黙っちまったんだけど!?
急に黙りこくった馨に歳三は心の中で冷汗を流した。
どうやら歳三は馨の表情が曇ると焦るらしく(本人はあくまで無意識)、その表情をどうにかするために、あれこれ言葉を探す。
しかし、なかなかいい言葉は見つからない。