紙吹雪
ゆるりと無意識のうちにあがる歳三の口角。
「あ、きみ。どうぞ中に入ってください。旦那様がお待ちです」
そんなことを思いながら歳三がぼーっと空を眺めていると、後ろから先程の青年が声をかけてきた。
どうやら会うことが出来るようになったらしい。
歳三は腰を上げ着物についた埃を払うと一礼してから青年の後に続き屋敷の中へと足を踏み入れる。
中は襲われた日よりはずいぶん綺麗になっていたもの、未だ修復中らしく何人かの職人たちが忙しなく出入りしているようだった。
広い部屋敷の中、そんな光景を目の端にとらえながら部屋までの道程を歩く二人。