紙吹雪
「こちらです」
しばらくして青年の足が止まったのは、屋敷の奥にある大きな部屋。
恐らく客間なのだろう。
中からは重い空気を嫌というほど纏った気配がしている。
…ここにいんのか、あのおっさん。
馨のことを知っているかもしれない人間と対面することに今更ながら激しく緊張してきた歳三。
それをぐっと押し込めて部屋への一歩を踏み出した。
「いやぁ…こんにちは。どうぞ、座ってください」
歳三が部屋に入ると、そこには人のよさそうな男が一人。
あちこちに痛々しく包帯などをしているが、それを隠すような柔らかい笑みを浮かべている。