紙吹雪
真っすぐな眼差しで男を見つめる歳三。
その曇りのない瞳に、男は一瞬喉を鳴らした後深く息を吐くとその首を縦に振った。
そして障子の向こう側を見るように視線を逸らし、ゆっくりと口を開く。
まるで、自分に言い聞かせるかのように。
「…私の名は庄左衛門。昔は旅籠屋を営んでいたんだが、今は隠居して小さな店と…当時の人脈を利用した…仲介業をしている」
「…仲介、業…?」
"仲介業"という言い回しに首を傾げる歳三。
何ら不自然でないはずのその言葉だが、何かが引っ掛かる。
そもそもこの家が狙われた時点で普通の仲介業者ではないことは明白だ。