紙吹雪




といっても、庄左衛門も直接次の持ち主に接触したわけではなく、向こうが雇ったらしい別の仲介業者を通してやりとりを行ったようで庄左衛門自身相手の顔や素性を知らないという。




「…"あれ"の価値がどれくらいのものなのかは私にも詳しくわからない。だが、欲しがる人間がたくさんいるというのは確かだ」




そういった人物を何人か知っている、と庄左衛門は視線を真っすぐ歳三に向けた。


瞳の奥に見え隠れする厳しさにも似た緊張は、彼が世の中の裏を知っている確かな証拠。


歳三はどこか見覚えのあるその瞳にごくりと息をのんだ。




< 196 / 320 >

この作品をシェア

pagetop