紙吹雪
揺らぐことのない歳三の姿勢に庄左衛門も再び深く息を吐くと、覚悟を決めた表情で歳三に向き直った。
「…君が…絶対に後悔しないと言うなら…出来る限り力になろう」
庄左衛門が知っているそれは歳三の知らない世界。
そして馨が生きている世界。
一歩足を踏み入れれば抜け出すことは容易ではない。
寧ろ、まるで足掻けば足掻くほど沈む底無し沼のように生涯抜け出すことなど出来ない修羅にも似た道。
しかし、歳三に迷いなどなかった。
あの時固めた決意は決して嘘偽りではないのだから。
「…後悔なら、もう死ぬほどしました」
…かおを傷つけちまったあの日のことを。