紙吹雪
本当に消えてなくなりたいほど後悔したから。
「今更、後悔することなんて一つもねぇんだ」
そう言い切った歳三の瞳に灯る熱い炎。それは間違いなく歳三の覚悟の証で。
その瞳に驚きながらも庄左衛門は思う。
まるで、武士のような少年だ、と。
侍とは名ばかりで刀を使いこなすことも出来ない輩が増えているこの日の本にかつての武士を思わせる目を持った少年がいるのだ、と。
そして庄左衛門は笑った。
この子なら、あの女の子を救うことが出来るかもしれない。
あの、瞳の奥に寂しさを隠していた少女を。
「…彼女の名前は知らない。だが黒猫という名は裏の人間の間ではとても有名だ」