紙吹雪




庄左衛門曰く、裏の業界で【黒猫】と呼ばれている忍の集団があるらしい。

神出鬼没でふらりと現れては音もなく消えていくという【黒猫】。


あちらこちらで噂があがるものの、その正体を知るものはほんの一握りの人間だという。


それでも皆が持っているのは

"黒猫に狙われれば命無し"

という暗黙の共通認識。




「…ただ、私のことは初めから殺す気がなかったようだ」




ぽつりと呟かれた庄左衛門のその言葉にぴくりと歳三の肩が跳ねる。


そして何を言っているんだといわんばかりに、きつく眉を寄せた。


訝しげな表情をする歳三に困ったように微笑みながらも更に話を続けていく庄左衛門。



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