紙吹雪
引き下がってなんかやるかよ…
とことん足突っ込んでやろうじゃねぇか…!!
結局、庄左衛門からは馨の素性は何もわからなかった。
どうやら名前すら知られていないらしく(当然歳三も口にはしなかった)、誰が呼び始めたのか【黒猫】の呼び名だけが知れ渡っているらしい。
ただ一つわかったことといえば、馨はやはり無差別に物取りの業を行っているわけではなく、例の刀だけを探しているのだということ。
それが馨とどんな縁で結ばれているのかまではわからないが。
こうして闇に近づくことに対して驚くほど恐怖を抱いたりはしていない歳三。
寧ろ一歩どころか三歩くらい馨に近付けたような収穫に自然と表情が緩む。