紙吹雪
そんなとき
「なぁ知ってっか?例の物取り、また出たらしいぜ?」
ふと、本当にたまたま風に乗って聞こえてきた言葉に歳三は足を止めた。
…は?なんだ、今の…
自分の願望故の幻聴かと思いながらきょろきょろと辺りを見渡す。
が、行き交う人の中に声の主を見つけられない。
幻聴とか…俺まじで末期?
そう思いながらもあちこち近辺を歩いていると、ちょうど呉服屋の細い脇道にこそこそと話をする若い三人組の男たちを見つけた。
「は!?それって最近噂になってる?」
一人の男が驚いたように目を見開く。
歳三は気付かれないよう足を忍ばせながら彼らの死角へ移動した。